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Dangerous Man
第16章 失
それから数ヶ月
年も明けて暑い季節がやってきた。
『アツシ…僕働かせて?』
シュージは俺の工房に入る事になった。
奴の心を縛り上げた鎖は
まだ解けていない。
『…ナツが好きやったバンド復活したら
僕が代わりに追いかけんねん』
健気に笑う。
『バンドの追っかけなんか
すぐ金ないなるで?』
『だってナツが
いっぱい残してくれたんやもん』
『羨ましいこと』
そう言って笑うとシュージも笑った。
生きてる俺らは死んだ人間のことなんて
忘れていく。
なのにシュージの中には確かに生きていて
ずっとナツを感じてる。
真っ直ぐなシュージに少し嫉妬する。
でも俺は…
俺の人生は変えない。
変えたくない。
怖いから。