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振り向けば…
第11章 失敗した…



寂しくて笑えない私が居た。


「テクニックの努力は要らんから、少しは女の子を好きになる努力をしろ。」


わざと悠真の冗談に乗ったフリをして悠真を蹴飛ばしてやる。

そうしなければお互いがずっと気不味いままになる気がした。

家に帰るとどっと疲れが出た。

ベッドに寝転がって考える。

身体が熱くなる。

悠真があんな風に女の子を抱くのだと初めて知った。

やばいくらいに感じた。

思い出すだけで乳首に痛みが走る。

同時に悔しくて胸の奥にも痛みが走る。

何人の女を抱いて来た?

そうやって女の子を溺れさせて来た悠真を憎む気持ちが湧いて来る。

悠真は私を愛してない。


「悠真の馬鹿たれ…。」


悠真だけとは恋愛をしない。

改めて自分の中でそう決めてた。

悠真の前ではいつもの自分を貫く。

悠真はヘラヘラと笑ってる。

いつも通り…。

何も変わらない。

大丈夫…。

私と悠真は家族や。

4年生になり、何かと忙しくはなる。

教育実習に就活に卒論…。

就職先は意外とアッサリと決まった。

小さな建設会社…。

そこの社長さんから是非にと言われた。

今は施工管理2級を持った55歳のベテランさんが現場主任を務めているという会社…。


「同じ2級持ちの森本さんに来て貰えたら完璧や。」


社長さんがそう言う。

正直なところゼネコンも考えた。

ゼネコンからも


「これだけの資格持ちなら、すぐに来て欲しいな。」


と言われてる。

だけど所詮は資格…。

現場での叩き上げ実績が欲しいと考える。

だから小さな会社に決めた。

就職を決めたくせに教育実習に参加する。


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