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振り向けば…
第18章 私自身を…



「何がおかしいねん?」

「色気は0やな。」

「悪いか?」

「後楽園に行こうぜ。」


3大名園の後楽園…。

秋の紅葉で有名だけど夏は水路に足を付けたり出来るから、それなりに趣を楽しめる。

造園…。

計算されて配置される木々を眺める。

この分野は私には難しい。

まだまだ駆け出しの建築家。

全てを学びたい。

全てを吸収したい。

欲張りで背伸びをしたがる私を感じる。


「建築もええけど、少しは景色を楽しめ。」


悠真が私の頭を押さえ付ける。

仕事は忘れろと言う悠真。

今は休みなのだから…。


「ご飯を食べたい。」


悠真の腕に甘えるようにして腕を絡める。

そのまま悠真と腕を組み歩き出す。

恋人じゃない2人の恋人のような時間。

ちょっとお洒落なレストランで軽めの食事をする。

夜はすき焼きの食べ放題だからとわざとお腹を空かせて旅館に行く予定。

ランチの後は倉敷に足を伸ばし、美観地区の散歩をする。

可愛いカフェがたくさんあるのに今日は我慢だと2人で見ないフリをする。

甘い物好きの悠真…。


「やべぇ…、早めに旅館に行くぞ。」


甘味処の誘惑に負ける前に旅館にチェックインする運びになってた。

それでも倉敷から山陰側にある温泉に向かうには1時間程度はかかってまう。

夕方前のチェックイン…。

さすが、ちょっとお値段のいい旅館は部屋が綺麗で浴衣も違う。

あちらこちらから湯けむりが出てる街…。

浴衣に着替えると悠真が目を細めて私を見る。


「散歩でもする?」


悠真の手を握って聞いてやる。


「もう腹減ったから風呂に入って時間潰す。」


赤い顔で悠真が私から目を逸らす。


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