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振り向けば…
第18章 私自身を…



アイスで身体が冷えると私はエアコンに耐えられなくなる。

それは悠真にエアコンを我慢させる事に繋がる。

悠真は黙ったまま運転する。

口を開けばいがみ合う癖がある2人だから、機嫌のいい日は黙ったまま寄り添う。

悠真が鼻歌を歌う。

私の好きな歌…。

まるで悠真の子守り唄。

そっと欠伸を咬み殺す。


「寝ててもええのに…。」


クスクスと悠真が笑う。


「久しぶりの旅行やからな。寝たくないねん。」

「確かに旅行は久しぶりやな。」


旅行じゃないけど最後はあのライブの時。

私が悠真に初めて抱かれた夜。

そして、その後は一度だけ…。

今夜はもしかしたらとか考える。

悠真はもう誰とも付き合う気はないと宣言した。

私が居ればいいと悠真が言う。

でも私とは恋人じゃない…。

セフレ扱いも嫌だと思う。

だから悠真は私に恋人が出来ても気にしないと割り切ってる。

今夜…。

悠真がそのつもりなら…。

悠真を受け入れるつもりの私が居る。

つまらない喧嘩はしたくない。

楽しいだけの旅行にしたい。

悠真と笑顔を向け合うだけのスタートだった。

まずは無難に岡山城へと向かう。


「備中の松山城が最近は有名らしいけどな。」

「そうなん?」

「天空の城ってやつ。」

「ああ、あれって兵庫やないの?」

「それは日本のマチュピチュやろ?」


似たようなんがあり過ぎてさっぱりわからんわ。

別にお城に興味はない。

あるとすれば…。


「ほとんどが復元なんやな?」

「そうらしいな。戦争とかで焼失したからやろ?」

「でも復元が完全な鉄筋コンクリートって…。」

「お前が言うと夢がない。」

「現代の建物にしか見えんわ。」


建築方法や材料にしか興味のない私を悠真がクスクスと笑いやがる。


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