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振り向けば…
第1章 アホの子…



所詮は6歳児の妄想…。


「いややぁ…、いい子にするから…。だから…、よそのお家に捨てんといてぇ…。」


涙をボロボロと流してお母さんに訴える。

お母さんが慌てて私を抱っこする。


「別に捨てたりなんかせんよ。ちょっとだけ預かって貰うだけやん。お父さんもその方がええって言うてるし…。」

「いややぁ…。」


ボロボロと泣く私を今度は悠真がほくそ笑む。


「お前って…、やっぱりアホの子やな?オッチャンが帰って来るまでうちで待つだけの事やんけ。」

「悠真!アンタは黙っとき!」


またしても悠真がお母さんに殴られた。

悠真と2人で泣きながらお父さんが居るという病院に向かった。

その頃の私はまだ何もわかっていなかった。

お父さんが癌だという事実に…。

大きな病院でお母さんが慣れたように歩きエレベーターに乗り込む。


「やっと子供達の面会が出来るんよ。20針以上を縫うたから小さな子供の面会はあかん言われててん。」


お母さんが悠真のお母さんとそんな話をしていても私には意味がわからない。

ただお母さんが入った病室の部屋の真ん中にベッドがあり、そこには点滴という管に繋がれたままのお父さんが居た。


「おどうさん…。」


またしても涙でぐしゃぐしゃになる私が居た。


「おうっ!来夢…、悪かったな。こっち来いや。」


お父さんがベッドの上から私に苦笑いをして手を差し出してくれる。

久しぶりのお父さんの抱っこに必死にしがみついた覚えだけが残っている。


「悠真も来たんか?プリンあるから食うか?」


お父さんも既に悠真を知ってる事に少し驚いた。

お母さんが私が悠真の家に行く事を嫌がるとお父さんに言いつける。


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