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振り向けば…
第1章 アホの子…
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これが私と悠真(ゆうま)の出会い…。
森本 来夢…6歳。
今田 悠真…6歳。
お互いが敵意を持って睨み合うという出会い…。
悠真に逆らうようにキュッと私は口を結ぶ。
悠真はそれが気に入らないとばかりに私の玩具をソファーに投げつけた。
「悠真!」
知らないおばさんが悠真の後ろに来ると
ゴンッ…
と見事な拳骨を悠真の頭に直撃させる。
「来夢ちゃんに謝り!」
「なんでやねん!?俺…、悪くないやん。」
お母さんに殴られた悠真が半泣きの顔に変わるのを見てほくそ笑む。
見かねたうちのお母さんが弟を悠真のお母さんに渡してから私の前に座った。
「なぁ…、来夢…。お願いやからお母さんの話を聞いて…。今からお父さんに会いに行くんやし…。」
「お父さん?」
「うん…、そうや。やっとお父さんに会えるんや。だから来夢はいい子にしてお母さんの話を聞いてや。」
お父さんに会える。
たったそれだけで現金な私はご機嫌になる。
「なぁ…、ほんまにお父さんに会えるんか?」
「そうや。だからな来夢…、来夢にも色々と理解をして欲しい事があるねん。」
「なぁに?」
「お父さんは今、病院に入院してるねん。」
「にゅーいん?」
「そう…、もうすぐ来夢は保育園を卒業するやろ?」
「うん…。」
「お父さんが帰って来るまではお母さんがお父さんの会社の仕事をせなあかんからな。来夢は今度から悠真君のお家に行って欲しいねん。」
お母さんの話に愕然とした。
きっとお父さんは病院に捨てられたんだ。
今度は私も捨てられるんだ。
支離滅裂な妄想に涙が出る。
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