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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第3章 ゴールデンウィーク。旅行二日目
 夜のキャンプ場は宿直当番の老人二人に任せ、新堂は帰宅していた。
 それでも自宅からでもいろいろチェックが出来るように、と防犯カメラの映像をパソコンで確認することが出来る。

 何か異常があるわけもないだろうが、これは日課のようなものだ。
 
 事務所の中、キャンプ場の各所、各コテージの入り口のドア付近。
 何も変わったところはない。

 立ち上がってキッチンへと向かう。冷蔵庫からビールを取り出した。
 ビールを喉に流し込みながら、窓の外へと目を向ける。

 新堂の自宅はキャンプ場の事務所からは車で十分ほどのところにある。川の土手の上を走る道路に面した一軒家。静かな夜には川の流れる音が聞こえる。

 そして窓の中の景色の遠くに、愛里達が泊っているコテージが見える。とはいえ、ここから見えるのは建物の側面だけ。裏手にあるウッドデッキや露天風呂は、客のプライバシーもあり見ることはできない。もちろん防犯カメラも設置してはいない。

 それでも何となくそちらに目を送ってしまうのは、そこに泊っている美少女が気になってしまっているせいだろうか。

 参ったな。ビールを喉に流し込んで新堂は一人笑う。 

 俺はロリコンじゃないのにな。どうにも男を惑わすくらいに可愛い子というのがいるものなんだな。

 あと数年経てば年齢的にも自分好みになる。その時にもう一度訪れてくれないだろうか。
 そうすれば、何があっても自分のものにしてやるのにな。

 そんな妄想を楽しんでいる新堂の目線の先、ウッドデッキからはみ出すように、部屋の明かりに伸ばされた影が見えた。

 愛里だろうか。もうひとつ、もっと長い影が近寄って来た。するとこちらが父親だろう。

 俺は何を見ているんだか。もう一度苦笑を零す。

 覗き見るとはいっても、せいぜいがこの程度だ。何か新堂が期待するようなものが見られるわけでもないし、親子である以上変なことは何も起こらないだろう。

 そう思い、ビールを口に運ぼうとした腕が止まった。

 大きな影が小さな影に近付き、そしてふたつが重なった。
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