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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第3章 ゴールデンウィーク。旅行二日目
 馬鹿か、俺は馬鹿か。

 そう思いながらも妙な胸騒ぎと期待に胸を掻き回され、新堂は家を出た。

 影が重なったから何だというのだ。ただ近くに寄っただけかもしれない。親子であれば決して不自然な距離ではないだろう。

 しかし、しかしだ。

 どうにも気になる。何故だか気になる。
 
 気が付くと新堂は愛里達が泊るコテージ近くの影の中に佇んでいた。
 防犯カメラの位置は把握しているし、どこから近付けば影に隠れたまま近付けるかも分かる。

 新堂は自分の行動に疑問を持ったまま、コテージへと忍び寄る。

 そして、そこで見た。

 ウッドデッキに設えられた露天風呂の中、湯気の立つ中で裸で寄り添う愛里と幸彦の姿を。

 幸彦の胸に頬を押し当てるようにして立つ愛里の姿を。
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