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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第9章 決別の決心
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
翌朝は私が作った朝食を摂り、和哉は仕事へ。
もう昔の自分を忘れると、改めて決意した。事実は消えないが、忘れることは出来るはず。
彼の傍にいれば。
一通りの家事を済ませ、和哉を玄関で出迎える。
そんな、普通の幸せ。
まだまだ未熟な手作りの夕食を摂り、水割りとビールにつまみの用意。これだけは、毎晩のことになりそうだ。
テレビを観て笑い合うことだけで、幸せを感じる。
全て打ち明けて、良かったのかもしれない。そう思いながら、ビールを口にする。
平日に呑んで大丈夫な量も、自分で解ってきた。
以前よりは弱くなったが、これからまた、強くなるかもしれない。
「おかえりなさいっ!」
「ただいま……」
キスと笑顔で出迎える。
あの夜の告白から、1週間が過ぎた。
全て話したせいか、自分でもスッキリしている。
隠したまま一緒にいたとしたら、まだ引きずっていただろう。
何度も思った通り、過去は変えようがない。それでも、また生まれ変われる。
この前の休みに、和哉が持っているマンションを見に行った。
思わず、「凄い……」と口にするくらいの、10階建ての高級マンション。
両親の遺産で、建てたそうだ。
ここを無料で貸してくれようとしていたなんて、呆れるくらい優しすぎる。
家賃収入が凄いだろうと思ったが、税金を引かれるからそんなに残らないと言っていた。だが、彼の“そんなに”は、私と感覚が違う。
金目当てではないが、本当に金持ちだと思った。
本当に、こんな私には勿体ない人。
今度こそ、もう2度と哀しませないと心に誓った。