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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第3章  変わりゆく景色


 入店してすぐ、2台目のスマホを買ってある。それは店用。客は勿論、女の子にも店用の番号やメアドしか教えない。
 それは、支配人の勧め。
 プライベートと分けないと、解りづらくなるから。
 だが私は今、プライベートの電話に殆ど出ない。昔の仲間とは縁を切りたいから。
 かかってくる男達は、どうせセックス目当てだろう。金を請求することも出来ない。
 現状は、誰にも教えていなかった。客とのセックスについては隠せても、昔の仲間に金をたかられたくない。
 私は生まれ変わった。
 もう、いやいや中学に通っていた梨香ではない。
 夜な夜な遊んでいた仲間達は、適当にバイトをしていた人ばかり。先のことなど、何も考えていなかった。
 今の私は、金を貯めてマンションを借りる。18歳になったら、別の店へ移る。そういった目標がある。
 そのために、昔の仲間は必要無い。邪魔なくらいだ。
 以前駅前の人混みで見かけたことはあったが、背中を向けたから、相手は気付かなかった。それは、服装も違ったせいだろう。
 以前のように、数千円の服など着ない。普段着でさえ、万単位の物ばかり。
 もう以前の仲間達とは、違う世界にいる。
 改めて見ると、昔の仲間は貧乏くさい格好。それが逆に、私の優越感を煽る。
 今の店で稼ぐのは決して楽では無いが、それも自分次第。
 拘束もされたし、憧れだった麗華を含んでの4Pもした。もう、怖い物は何もない心境。
 元々、家族全員から嫌われていた。当時の男友達は、セックスが目当て。ありふれたファミレスなら奢ってくれるが、それがセックスの代償でいいと思われていた。
 今はイタリアンやフレンチのコース料理。そしてセックスの代償に金ももらえる。
 昔の自分とは、縁を切る。そのためには、元々のスマホの番号やメアドも変えた方がいいかもしれない。
「梨香ちゃん?」
「あ、はい」
 タクシーの中で、客に呼ばれて我に返った。
 客は、今晩のアフターの相手。誕生日にプレゼントを持って行くからと、今晩誘われた。
 誕生日は関係なくても、アフターは大歓迎。これでまた、欲しかったアクセサリーが買える。
 そう考えながら、ラブホの駐車場でタクシーを降りた。


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