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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第3章 変わりゆく景色
「そう言ってもらえると、助かるよ……」
本当にそう思っている。
プレゼントも嬉しいが、無くても、指名料と売り上げになる。それに、初めて指名してくれた客とまた会えたのも嬉しい。
少し他愛ない会話をしていると、優しげな客が何か言いたそうにしているのが解る。
私はビールを呑み、わざと会話を切ってみた。
「あのさ……。同伴、無理かな? 明日、この店、やってるよね?」
想像していたことを言われ、頷いて見せる。
「はい。大丈夫です」
「良かった……。予定が、あるかと、思ったから……」
「いいえ」
本当は、今日は忙しくなると思い、明日の同伴を入れるのをやめようと思っていた。
だがこの人なら、何故かいいだろうと思ってしまう。
「梨香さんを、お借りします」
黒服に言われ、急いで彼に耳打ちした。
「何時にどこか、昼間、電話してください」
頷く客を見てから、もう1人にもお辞儀をしてから席を立つ。
初めて指名されてから、1ヶ月以上あの客は来なかった。思っていたより、気に入られていなかったのだと考えていたのに。
彼の苗字は、瀧澤(たきざわ)。
初めての指名だし、私には難しい漢字のお蔭で、逆に覚えやすい。
来たばかりの次の席へ行くと、またシャンパンタワー。
プレゼントにしても、ここの客は金持ちばかりだ。店の料金自体高いと、以前調べて知った。
座っただけで、1人2万。フリーボトルというものが無いため、必ずボトルを入れることになる。それにミネと略すミネラルウォーターと氷はセットで有料。女の子も着くから、最低でも5,6万かかる仕組みだ。1番高いボトルは、50万もする。
私からすれば、ボッタクリ。
だがそのお蔭で、女の子に入る売り上げの5%が、かなりの額になる。
今はそんなことを忘れ、席を移る度に渡されるプレゼントに喜んでいた。