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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第4章 不思議な感情
「そろそろ、帰ろか……」
「どうして、抱かなかったんですか?」
ストレートすぎる質問をしてみる。
「梨香ちゃんを、大切に、したいから……」
瀧澤を見つめた。彼も、じっと私を見ていた。
堪らなくなり、彼にしがみつき、胸で思い切り泣く。声を上げて泣くのは、子供の頃以来。
苦しくても、いつも黙って耐えていた。その全てが、一気に溢れ出したよう。
彼は、ずっと背中を撫でてくれていた。
「あの店、辞め、たい……。でも、寮に、いるから……」
「僕の所に、来る?」
驚いて、顔を上げる。
「あっ、一緒に、住むわけじゃ、なくて。マンション、貸してるから。無料で、いいよ?」
無料で住む所があれば、昼間のバイトでもやって行かれる。
高級な食事も、ブランド物もいらない。
私は、勘違いをしていた。金さえあれば、幸せになれると。そのためなら、客と寝るのも仕方がないと。
不良娘ではあったが、昔の仲間とは縁が切れている。
本当に、生まれ変われる、チャンスかもしれない。
だが、そこまで瀧澤に甘えていいのだろうか?
抱いてさえいない私に、何故そんなに優しくしてくれるのだろう。
「少し、考えて、みます……」
「いつでも、いいからね……」
優しく頭を撫でられ、私は頷いた。