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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第6章  新たな試練


 だからお嬢様育ちは、悪い男に引っかかりやすいのだ。
 令嬢とはセックスしない代わりに、私や愛を抱いている。令嬢は、そんな裏の顔に全く気付いていないようだ。
 養子ではないが、頭の切れる長男は、いずれ四菱グループの頭首となるだろう。
 たまには、セックスをしに戻ってくるのだろうか。そんな時間は、無いかもしれない。
 それからほどなくして、ご主人様と令嬢の結納が無事に済んだ。
 このまま結婚すれば、私も愛も、時給が上がるチャンスがなくなってしまう。今は時給も6千円に上がっていたが、それ以上は望めない。
 ある日、美桜と次男が階段の所で何か話していた。
 美桜のご主人様は三男。それ以外のご主人様とこそこそ話すのは、何か良からぬ予感がする。
 咄嗟に廊下の角に隠れたが、遠すぎて全く声は聞こえない。そのうちに話は終わり、次男は嬉しそうに階段を登って行った。
「あっ、美桜。最近、随分大胆じゃない」
 廊下の途中で何気なく声をかけると、美桜は照れ笑いしながら行ってしまう。
 何を話していたのか気になるが、私が次男に訊くわけにもいかない。仕方なく、この件はそのままにしておいた。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


 令嬢との結婚式が、2年後に決まったのを、ご主人様から知らされる。
 私は、21歳になっていた。
 その夜は内輪で軽いお祝いがあったが、私達はいつもと同じように個室で食事を摂る。
 美桜が運んで来てくれた夕食を食べようとすると、皿の下に久し振りのカード。
「何……?」
 今日は特に、時給が上がることをした覚えはない。部屋でのセックスにも、食事中のお触りにも呼ばれていないし、清掃をしたのはセックス禁止のランドリー室。
「えっ?」
 開いたカードを持ったまま立ち上がり、椅子が後ろへひっくり返った。それも気にせず、カードをじっと見つめる。
 『梨香。明日からの時給は、1万2千円です』、と書いてあった。
 一気に倍だなんて。
「ええっ!?」
 わけが解らず、私はカードを持って隣の愛の個室へ行った。


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