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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第7章 蘇る感情
「そうなの。私も……」
愛が見せてきたカードにも、間違いなく、“時給1万2千円”と書いてある。
「今までは上がっても、1度に5百円まででしたよね?」
頷きながら、愛も不思議そうに自分のカードを見つめていた。
「愛さーん!」
「愛さぁん!」
ドンドンとドアを叩く音が聞こえ、奈々と亜里沙が入ってくる。
「時給が凄く上がっててぇ、ビックリしてぇ、亜里沙さんのトコに行ったんですぅ」
「倍なんですよー。だから、2人でー、愛さんに訊いてみようってー」
2人は、愛をジッと見つめていた。
「私に訊かれても……。私も、驚いてるの。それも、みんな同時だなんて……」
4人でいくら考えても、答えは出ない。
愛と亜里沙は、今日ご主人様とのセックスがあったが、それなら2人だけのはず。結婚の日取りが決まった長男からのご祝儀なら、私と愛だけ。4人一緒の理由が見当たらなかった。
「愛さん。失礼します」
またノックの音。
残りは美桜だけ。
入って来た美桜は、頭を下げた。
「ご主人様に相談して、全員の時給を倍にして頂きました」
「三男に?」
愛が訊く。
「いいえ。次男です」
美桜に詳しい事情を聞き、納得は出来た。
「部屋で、残りの額の計算をしてみるっ」
私が出て行こうとすると、美桜に止められる。
「明日の午後に、全員の借金の残りが、個々に連絡されますから」
美桜から聞いた理由も、次男に持ちかけたことも正解だ。来た時にあんなに怯えていた美桜が、処女を失ってから急に強くなったのは何故だか解らないが。
とにかく、美桜のお蔭で返済日が半分になる。
それを喜びながら、各自の個室へ戻った。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
半年ほどして愛の返済が終わり、退職金としての5百万円を受け取っていなくなる。
退職金についても、相談したのは美桜。
借金を返済していきなりここを出ても、私には帰る場所さえない。奈々も、同じようなことを言っていた。
愛が、どこへ行ったのかは知らない。
今までは仲良くしていたが、ここを出れば、今までのことは断ち切りたいだろう。
返済が4ヶ月後に迫った私も、そう考えてしまう。
私の場合は、特にそう。
14歳で処女を失った日からの出来事を、全て断ち切ってしまいたい。