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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第7章 蘇る感情
一瞬、女性に興味が無いのかと思ったが、それなら同伴などしなかっただろう。
「どうぞ」
ビールを注がれ、それを一気に飲み干した。店のような小さなグラスだから、出来ること。
「凄いねえ。はい、どうぞ」
また、ビールが注がれた。
それでテーブルにあった物は最後らしく、彼が冷蔵庫から追加を持ってくる。
普通女性を酔わせるのは、下心がある時。それなのに瀧澤は、そんな素振りも見せず向かいに座っている。
一昨日だってベッドで抱き着いたのに、優しく抱きしめてくれただけ。
「ちゃんと、答えてくださいー。私の事を、どう思ってるんですかぁ?」
「ん……。可愛いと、思ってるよ。一緒にいると、凄く、楽しいし」
その答えは、何となく消化不良気味。酔ってきたからかもしれないが。
「でも……」
「えっ? 何?」
どんなことを言うのか、喰い気味に訊いてしまう。
「見た目は、可愛いより、綺麗、かな……。大人に、なったから……」
私は、もうすぐ22歳になる。瀧澤は、誕生日など覚えていないだろうが。
「あのさ……。違ったら、ごめんね。持って来たバッグ、もしかして……」
「瀧澤さんに、5年前の誕生日に、貰ったバッグですー。これだけは、ずっと。ずっとぉ……。大切に、持ってましたぁ……」
彼に、悪気など全く無いのは解っている。だが自分の言った言葉で、屋敷でのことを思い出してしまった。
1度は取り上げられたバッグ。それがやっと手元に戻って来た。運ばれたホテルのクローゼットで見た時の、衝撃のような感覚は忘れていない。
「私は。私はぁ……。瀧澤さんが、好きですぅ……。だから、会いたくて……。迷ったけど、来ちゃいましたぁ……」
「嬉しいよ。僕も、梨香ちゃんが、好きだから……」
笑顔だが戸惑っているような、彼の隣に座る。
「本気、なんですっ。本当に、ずっとずっとー、瀧澤さんの事、考えててぇ……」
抱き着くと、また優しく抱きしめてくれた。
「ん……。僕も、ずっと、待ってたよ……」
顔を上げると、どちらからともなく、軽く唇を合わせる。
「だったら……。抱いて、くだ、さい……」
何も言わず立ち上がった瀧澤に、いきなり抱き上げられた。