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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第7章 蘇る感情
いくら金持ちの瀧澤でも、5百万の札束を見せたら不思議がるだろう。この5年で、何をして稼いできたのかを。
それだけは、絶対に知られたくない。
日曜は、仕方なく古いブランド服のまま街へ出た。
瀧澤の車で出かけ、ファストファッションの店で何着も服を買う。紙袋2つ分買っても、数万で済んだ。5年前なら、1着で一桁と倍以上違う金額。
昼食は私の希望で、ハンバーガーショップ。彼は学生時代以来だと言い、食べるのに苦戦していた。
そんなことでも、素直に笑える。
私も、6年近く振り。あの店にいた最後の方は、外食をする余裕などなかったから。
自分の分は払うと言ったが、瀧澤が支払ってくれた。あまりレジ前で言い合うのも、彼に恥ずかしい思いをさせてしまうと思ったから。
最後は安い家具屋へ行き、特価で1万円程の棚とタンス、小物を数点購入。棚とタンスは無料配達が出来たから、そうしてもらった。
家に戻ると、ソファーに座った瀧澤が溜息をつく。
「ごめんなさい。付き合わせちゃって。疲れましたよね?」
「ん。少し疲れたけど、凄く、楽しかったよ」
彼の笑顔にホッとした。
夜になると、デリバリーのピザを夕食にして、2人で呑み始める。瀧澤は戻ってすぐ、ビールをケースで注文し、かなりの数を冷蔵庫に入れていた。
彼はビールを呑まない。全て私用だろう。今度こそ私が払うと言ったが、瀧澤は受け取ってくれない。夏のボーナスだと言い、笑ってばかり。
まだ働いていないのに、ボーナスなど出るはずもない。それでも、彼に優しくされるのは嬉しかった。
瀧澤は明日仕事だからあまり呑まないのに、私にはどんどん勧めてくる。
ある程度生活の基礎が整った私は、安心感から、勧められるまま呑んでしまう。
金曜よりはましだが、やはり酔うのが早い。そのせいで口調が変わるのを、自分でも解っていた。
「瀧澤さんは、私の事を、どう思ってるんですかー?」
「どうって。また、酔っちゃった?」
彼は笑っているだけ。
「彼女とか出来たら、家政婦なんて、いらなく、なっちゃいますよねぇ?」
「大丈夫だよ。安心して」
何が大丈夫なのか、解らない。