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第5章 人魚

「ワイが突然現れたからびっくりしてるんでしょ」

無言で首を縦に振る。

「ちょっともよおしちゃって」髭の男は出入口とは反対方向を指差す。

両手首には、ゴツいシルバーの指輪やチェーンのブレスレットがじゃらじゃらと揺れていた。

「事前の準備は万端にしとかんとね」

出入口の反対側を見ると、そこにはアルファベットで「レストルーム」と表示された扉が目に入った。

安堵のため息を漏らす。

どうやら彼は幽霊ではないようだ。