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第5章 人魚

人魚像の右手には扉らしきものが見える。

どうやらエレベータの扉のようだ。

この空間はこの店のエレベータホールになっているらしい。

一歩下がった店員は両手を太ももの辺りに添えるとじっと扉を見つめた。

どうやらこの扉が開いた瞬間、カゴの中には智広の相手をするソープ嬢が待っているのだろう。

数秒の時間が流れた。

だが智広には、緊張のためかこの待ち時間が数時間にも感じられた。

エレベータの扉と対峙しがなら目線だけで周辺を見渡した。