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約束のピンキーリング
第7章 ン 
その日は岡本主任は外回りで。
久しぶりにひとりで帰ろうとしていたところだった。
「中村さん!」

帰り間際にエントランスで声をかけてきたのは柳下くんで
「例の話。どうしますか?」

きっとこの話を私に持ち出すのは絶妙なタイミングなんだと思う。
この人、凄く周りを、というか時間と空気を読める人なんだわ。

あの時、合コンを断ったのは残業が読めないからじゃない事ぐらい
カンのいい人ならすぐ分かる。

このプロジェクトの解散が発表されて・・・
私と岡本主任がどうなるか、そろそろ答えは出ましたよね?
言葉に出さなくてもそう言われているようで

「柳下くん・・・」
「はい?」
「なんでキミが広報なんだろうね?」
「え?」

「経管か人事か・・・総務向きなのにね」
私の、脈絡もないその言葉に、何を言いたいのかまた察したように
「広報で満足していますよ」
そう優しく笑った。

「合コンは・・・どうしますか?」

その雰囲気は、あまりにも穏やかで。

「お待たせしてごめんなさいね。
プロジェクトも解散が決まったし。
合コンのセッティング・・・してほしいの」

私の返事は意外だったようで、一瞬ビックリした顔をスッと隠した。

「良いんですか?」
「うん。あ、相手の職種に希望はないんだけど・・・」
「はい?」
「1つ条件があるわ」
「何でしょう」

「結婚を前提が希望の人、これをお願い」
「・・・・」

私の言葉に、柳下くんはすぐに返事をしなくて。

「分かりました」
「再来週の金曜日なら、プロジェクトも解散してるし大丈夫だと思うわ」

「分かりました・・・で?」
「・・・え?」

「岡本主任は、それで良いんですね?」

柳下くんの視線は私ではなく私の後ろに注がれていた。

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