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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第7章 大きさの問題

「果物は、あのお屋敷には、売るほど有るのよ?果物の香りのする物なんて、お家に有るかもしれないじゃないの」
「……なるほどー……!食うもんとこーいうもんが、全然結びつきやせんでした」

 ビスカスは、へへっと笑って、頭を掻きました。

「何が良いかしら……」
「難しいもんですねー……あ。手巾はどうです?」
「それは、沢山お持ちなのじゃない?」
「や、実は……怪我した時に、一枚頂いちまったんでさあ」

 それを最初に貰ったのは、怪我より前の、ローゼルに平手打ちを喰らった時でした。しかし、返せない状態にしてしまったのは怪我の時なので、まあ似たような物だろうと言うことで、平手打ちの件をわざわざ持ち出すのは止めておきました。

「刺繍がしてありやしたけど、こういうのじゃ有りやせんでしたよ?都から持って来たのをお使いだったら、ここらの刺繍は、お珍しいんじゃねぇですかねー」
「それもそうね。刺繍や手仕事はお好きって仰ってたから、良いかもしれないわね」

(ああ……俺のお嬢様は、本っ当に心底すっげえ可愛いやねー……)

 ビスカスは熱心に手巾の品定めを始めた横顔を眺めて、こっそりにやけました。
 気難しいと思われる事の多いローゼルは、ビスカスにとっては素直で優しく、可愛らしい主でした。
 気持ちを上手く出せない所が有るので一見分かりにくいのですが、当初は焼き餅を妬いて意地悪をしたスグリ姫にさえ、心を許せば贈り物一つにすらこんなに真剣に悩むのです。
 ビスカスに対しても酷い扱いをしている様に見えますが、実際はそうではありません。聞くべき事はきちんと聞いてくれますし、平手打ちされるのもビスカスが望んでされにいっている様な物なので、嬉しいだけで何の問題も有りませんでした。

「これ、どうかしら?」

 ビスカスが嫁に惚れ惚れと見蕩れていると、弾んだ声と共に輝く様な笑顔が向けられました。

「ああ、いいですね……え」
「でしょう!」

 ビスカスが不意に固まったのに気付かず、ローゼルははしゃぎました。

「これ、お名前と同じスグリの図案よね!スグリ様に、ぴったりじゃないこと?」

(……なんだ、なんなんだ、こりゃあ……!!)

 ビスカスが固まったのは、はしゃぐローゼルが美し過ぎたからだけでは有りませんでした。
 店の中に居る人々全ての視線が、ローゼルに向いている事に気付いたのです。
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