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セイドレイ【完結】
第24章 性夜の鐘

今夜──この地域では初雪が観測された。
聖なる夜にふさわしい、おあつらえ向きのホワイトクリスマスである。

そして、亜美を取り巻く人々のもとにも──同じようにクリスマスが訪れていた。

この日トメは、ふとカレンダーを見て、亜美がもう冬休みに入っていたことに気づく。

「──ああ、もうそんなころかい?すっかり忘れとった…」

どおりで亜美がたずねて来ないわけだ──そう思ったトメは、冬休みの間にスマホの充電をしてやらねばと、粉雪が舞う中、庭の小屋へと赴いた。

「──ありゃ?なんじゃこれは?」

小屋の戸を開けると、亜美が置いていったクリスマスプレゼントが目に入る。

「『トメさんへ、メリークリスマス』って…これ…亜美ちゃんかい??あらまあ、あの子わざわざ持ってきてくれたっていうのかい?」

トメはそのプレゼントと亜美のスマホを部屋へ持ち帰ると、その包み紙を開けてみた。

「まぁ…!こんな素敵なもんを…年寄りにはもったいないねぇ…。私みたいなんのに…なんて優しい子なんじゃ…」

中から出てきたのは、落ち着いたヴァーガンディ色をしたカシミアのマフラーだった。
トメはそのマフラーを大事そうに胸に抱きしめると、目にうっすらと涙を浮かべた。

「こりゃ、私もなにかお返しをしてやらにゃいかんのう──」


ところ変わって、本山の家では。

「──あなた~!早くお風呂済ませちゃってちょうだい!いっつもスマホばっかりいじって…あ、あなたまさか浮気でもしてんじゃないでしょうね!?」

そう憎まれ口を叩くのは、本山の妻である。

「あー分かった分かった!分かりました~ちゃっちゃと入りますよ~」

本山はスマホを片手に湯船に浸かりながら、終業式の日に亜美から来た返信を見返していた。

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先生、こんばんは。
二学期もお世話になりました。
来月のことはまだなんとも言えませんが
できるだけ行けるようにします。

先生、あまり女子のこと
いやらしい目で見ないであげてくださいね。
あと、もう少し普段の雰囲気が柔らかくなると
先生の良いところがもっと生徒に伝わると思います。

では、良いお年を。
あ、その前にメリークリスマスですね。

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「高崎…。お前ってやつは本当に…。なのに俺ときたら────」


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