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セイドレイ【完結】
第24章 性夜の鐘

そして──貴之のもとにも、クリスマスイブは訪れる。
しかしそれは、例年とはまったく違ったものであった。

武田家での話し合いの末、新堂により一方的に叩きつけられた条件に思わずサインをしてしまった貴之の父、俊之。
その後、俊之は泣きながら妻と息子に土下座をし、父親としての不甲斐なさを詫びたのだった。

退学はおろか、愛する息子が合意のないセックスで少女を妊娠させたという事実を認めさせられることが、親としてどんなに辛いことだろうか。

妻の紗枝は、その日以来ショックで体調を崩し、寝込んでしまっている。

例年であれば、紗枝が腕を奮ったクリスマスディナーが並ぶはずの食卓──しかし今年は、飲みかけのコップと、郵便物が何通か置かれているだけという、実にさびしいものだった。

俊之はこんなときも年末の仕事に終われ、まだ帰宅していない。

そんな静けさが漂う家の中、貴之はベッドの中でじっとうずくまっていた。
冬休みになり、友人たちから続々と届くメッセージアプリの通知もオフにして、ずっと未読のまま放置している。

なにをするわけでもなく、ただただ時間が過ぎゆくのを感じているだけの──そんなクリスマスイヴ。

退学になること自体には、それほど感慨はなかった。
それよりも、両親を傷つけてしまったこと。
そしてなによりも、亜美を失うことがつらかった。

亜美への正式な謝罪は、父俊之の仕事納めの日に行うことになっている。

つまりその日が、亜美に会う最後の日になるということだ。

年が明ければもう、一緒に登下校することもない。
可憐なあの笑顔を見ることも、カラダを重ねることも、もう二度とないのだ。

本当に、これでなにもかも終わってしまうのだろうか。
終わってしまっていいのだろうか。


「(──いや、違う。まだ俺には…確かめなきゃいけないことが残ってる…)」

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