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セイドレイ【完結】
第25章 暗転

「ほんとにいいの?じゃあ申し訳ないけど今日はこれで…亜美、帰るぞ」

「──あ、あのっ!田中さんっ、し、しましょう…さっきの続きっ…」

亜美の思いがけないその言葉に、慎二と田中の目が点になる。

「──おいおい、亜美?さすがに今日は無理しなくていいよ?いくらなんでも誘拐されそうになったあとなんだし…」

「そっ、そうですよ亜美さんっ!僕のことはお気になさらずに…」

「い、いえ…私なら全然!大丈夫ですから…。実際、あのタカっていう人?なにもしませんでしたし…多分、そこまで警戒する必要ないと思います。だからっ…身元特定するほどのことはないと思うので…せ、せっかく楽しみにされてたんですから、ね?私でよければ続き、しましょう?ご主人様の大切なご友人みたいですし…いいですよね?ご主人様っ??」

少し必死になり過ぎたであろうか。
いつになく積極的な亜美に、慎二と田中は呆気に取られたような顔をしていた。

「そ…そう?亜美がそこまで言うなら…。でも、どのみち場所は変えたいよね。なんかここだと、あいつがまだ近くに居たらと思うと気味悪いしさ…」

「そっ、それなら!…僕の自宅へ行くというのはどうでしょうかっ??」

田中から予想外の提案がされる。

「じっ、実は僕…今日車でここへ来てまして…。独り暮らしですし、家なら気兼ねなく…散らかってますけどそれでもよければ…。なんなら帰りはご自宅の近くまでお送りしますしっ…!」

「…う~ん。家かぁ…。亜美、どうする?」

「わっ、私は全然構いませんよ!行きましょう!ね?せっかくですしっ…」

「そぉ?じゃあ…お言葉に甘えて…お願いしますか」

「は、はいっ!では早速行きましょう!では僕、車持って来るんでちょっとお待ちくださいっ──」


そして3人は車に乗り込み、田中の自宅へと向かう。
車を走らせること、15分──。


「──ここです。どーぞどーぞ、上がってください」

「おじゃま…します…」


田中は亜美と慎二を先に部屋へ上げると、玄関のドアを閉め、鍵をかけた。

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