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セイドレイ【完結】
第25章 暗転

質問を遮られた田中は、キョロキョロと交互に2人を眺めていた。

『ご主人様』と『奴隷』──。

あまりに不釣り合いな2人の姿を冷静に見つめ、田中はこれが現実に起きていることだという実感がようやく湧いてくる。


「(やっぱり… "あの人たち" の言ってたことは本当だったんだ──)」


「──ねぇねぇ田中さん、ちょっと車貸してくんない?」

「え…?は、はい…いいですけど、どうするんですか?」

「うん…亜美と田中さんをふたりきりにさせてあげようかと思ってぇ~」


『えっ──!??』


慎二の思いがけない言葉に、顔を見合わせて驚く亜美と田中。

「とはいっても2時間くらいかな?俺、ちょっと買いたい物もあるしさ」

「は、はい…。でも、またどうして急に…?本当にいいんですか??」

「うーん…。いやさぁ、せっかく童貞捨てるんなら、俺がいないほういいかなって。田中さんのことは信用できそうだし、これからも仲良くしたいしさ。あ、でもその代わり…田中さん、ビデオカメラ持ってる?あと三脚もあるかな?」

「え、えっと…デジカメならあるんで、それで動画は撮れますが…三脚も小さいのならありますけど…」

「あー、それでじゅうぶん。俺がいない間にさ、亜美とヤッてるとこ撮っといてよ。ちょっと見てみたいんだよね、それ」

「ほっ…ほんとにいいんですかっ?!」

「うん。あと、亜美に個人的なことは聞かないでね。亜美も答えなくていいから。まあ今日は明け方までに帰ればいいし、まだ時間はたっぷりあるからさ。…ってことで、どう?」

「ももももちろんっ!!僕は構いませんが…でっでも、亜美さんは…?」

「いいよね?亜美。自分が田中さんとヤリたいって言ったんだからさ。だろ?」

「────はい」

「じゃ、そうと決まれば早速ぅ~!田中さん、車の鍵貸してもらっていい?」

「ど、どうぞどうぞ!…これです」

「ありがと。…じゃ、亜美。ちゃんと田中さんを男にしてやるんだぞ?俺の大事な友だちなんだからさ」

「はい。分かり…ました────」


そう言い残し、慎二はあっさりと部屋を出て行ってしまった。


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