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セイドレイ【完結】
第26章 形勢
そこには、武田家の地下室で撮影されたと思われる十数本の動画がアップロードされていた。
本山は全ての動画を購入していたため、フルサイズで見ることができた。

数十秒程のサンプルでは分からなかったが、フルで見れば確かにどの動画も、これが高崎亜美だと判断できる材料は揃っていた。

恐らく、このサイトの存在を、雅彦や健一は知らないのであろう。
慎二が何のためにこんなことをしでかしたのかは知る由もないが、問題はそこではなく、これらの動画が如何にリスクを孕んでいるかということだ。

幸い、被写体は慎二と亜美に限られているため、今のところ会員達に影響は無いが、このまま放置しておくのは危険だ。

そこで新堂は考える。
このことを直接雅彦に言いつけ、慎二に動画を削除させるのが一番手っ取り早くはある。
ネット上に一度公開された動画は根絶することは出来ないし、現に動画の一部が出回り、保護者の耳にも入っているような状況ではあるが、このまま放置しておくよりは幾分マシであろう。

だがーー、それでは新堂の腹の虫は収まらなかった。

この時既に新堂は、亜美が妊娠しないよう雅彦が暗躍している事に薄々勘づいていた。

プライドの高い新堂にとって、雅彦のその「裏切り」は実に耐え難いものだ。
しかし確証も無く、二の足を踏んでいる状況であった。

その上で、今回の件である。
全てを掌握し、支配する独裁主義の新堂は、自分の知らない所で起きていたこれらの事に静かな怒りを覚えていた。

何はともあれ、このまま動画を削除するだけでは面白く無い。
利用できるものは利用し、自身が今以上に圧倒的優位に立つ方法は無いものか。

慎二からの陵辱にあえぐ亜美の動画を見ながら、新堂はそんな事を考えていた。

「…本山先生。私はこういう事にはあまり明るくないんだが…例えば、この投稿主のアカウントに私がログインする方法は無いのかね?」

「えっ…?そ、そうですね…登録されているメールアドレスとパスワードさえ分かればログインすることは容易ですが…」

「ふむ…しかし肝心なそれを知る手立てが無いわけだ。確かに第三者に簡単に分かってしまったら意味が無いよなぁ」

『セイドレイ』に慎二のアカウントでログインしたいと言う新堂に、本山がひとつの提案をする。

「思いつく限り、一番手っ取り早い方法がひとつ…確実ではありませんが…」

「…ほう」
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