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セイドレイ【完結】
第28章 功罪
「(こ、こんなヤバい話だったなんて俺聞いてないぞ…!何かの拍子に亜美が落っこっちまったらどーすんだっ…!?)」

本山が新堂から命じられていたのは、亜美と客の監視、という非常に具体性を欠いたものだった。

恐らく、何か万が一の事態に備えてのことなのだろうが、今がその時では無いのか。

「(畜生…!どうする?さすがに殺しはしないだろうが…もう見てらんねぇよこんなの……こんなのセックスとかそういう次元じゃねぇじゃねぇかっ…!)」

今にも地上へ落ちてしまいそうな危険な状態の亜美を部屋の中から見ていた本山は、手に汗を握りながら息を飲んでいた。

そして自分がとんでもないことに関与してしまったと、あらためて後悔していた。


「あっ…!?」


次の瞬間、本山は思わず声を上げた。


酒井が亜美の首から手を離す。

亜美のカラダは後ろに倒れていく。


本山にはそれがスローモーションに見えた。


亜美の背中が手すりを飛び越えようとしたその瞬間。


酒井は両腕で亜美を手前に抱き寄せた。



本山は無意識に、胸に手を当てていた。
心臓が止まるかと思ったが、とりあえず亜美は無事のようだ。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、本山は何もかもが恐ろしくなってくる。

「(…何なんだよ…これ…これからこんなことが続くのか…?勘弁してくれよ…!)」



バルコニーでは、あわやマンションの最上階から落とされそうになった恐怖にすすり泣く亜美が、酒井の太い腕に抱かれていた。

「…よしよーし。よく頑張ったね。かわいいなぁ亜美は。気に入った。もう大丈夫だよ」

「うっ……うぇっ……んっ……うっ…うぅっ……」

赤子をあやすかのように亜美の頭を撫でながら、先程とは打って変わって優しい口調になる酒井。

一方、死の恐怖を味わった亜美は、カラダを小刻みに震わせながら、酒井にしがみついていた。

すると酒井の足に、生ぬるい液体の感触が走る。

寒さと恐怖に震えた亜美が、失禁してしまったのだ。
亜美の尿は両足の内側を伝い、バルコニーの床に水たまりを作っていく。

「…あーあー…こんなとこでお漏らししちゃって…よしよし…怖いの我慢したもんね?」

酒井はそう言うと、まだ失禁が止まらない亜美に、やけに甘いディープキスを交わす。

「んっ……んっんっ……はぁっ…」

次第に亜美の震えが収まっていく。
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