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せめて、今夜だけ…
第14章 火花
「誰に攻められても、誰に何を言われても…、無理なんです…」


バカみたいだと笑われてもいい。
最期の審判の日、地獄に堕ちても構わない。
神様に見捨てられてもいい。
自分の中にこんな狂気があったなんて気づかなかった。

「……そんなの…」

背後から先輩の声が聞こえて来る。
こんな俺に言いたい事はたくさんあるだろう。

「そんなの…、恋じゃない…っ!そんな最低な事…っ」

わかってる…。
先輩に言われるまでもなく、俺自身がよくわかってる。

「私は…、絶対認めないから…っ!」
「……はい」

認めてくれなくてもいい。
というか、誰も認めるわけがない。
こんな最低な理由で先輩を傷つけてしまったのだから、何を言われても構わない。
言い返す気もないし、反論もしない。

ただ、俺の心のど真ん中にいるのは…






―魚塚さん…―






あの魚月の柔らかな笑顔と、柔らかな声。
それだけ。
それ以外は、何もいらない。







「何で…?何で…、そんな…。ぐすっ」
「…すいません」







俺の背後で泣きじゃくる先輩。
でも、俺は何をしてあげる事も出来なかった。
こんな俺が先輩にしてあげれる事なんて何もない。
俺はただ、黙って先輩の泣き声交じりの言葉を聞くしか出来なかった。















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