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累(かさね)
第1章 累(かさね)


時は2019年1月5日の午後2時過ぎのことでありました。

場所は、今治市内の中心部のどこかにあります新築した家の前にて…

この日、市内の別の場所で暮らしていた恵須取(えすとる)慶彦(46歳・大手企業の管理職)の一家5人が引っ越しをしてきました。

慶彦は、新築した家の荷下ろしを引っ越し業者さんにお願いをしまして、近所の家々にあいさつ回りをしていました。

事件は、その最中(さなか)に発生したのでありました。

新築した家の前では、サカイ引越センターのトラック2台が止まっていて、業者さんたち20人がていねいに荷下ろしをしていました。

その時でありました。

家の前にシルバーと黒のポンティアックシボレーが急停車したあと、2台の車の中から10人のチンピラの男たちが飛び出したあと、ワーッとなりまして作業員さんたちに向かって行きました。

「アニキ!!」
「ああ!!」
「オレたちの土地に勝手に家が建てられている!!」
「オドレら!!引っ越し作業をやめてこっちへ来いや!!」

チンピラの男たちは、引っ越し作業を続けていた作業員さんたちがワーッとなって向かって行ったあと、作業員さんたちを次々と殴り付けて行きました。

ちょうどその頃でありました。

ご近所の家々に引っ越しのごあいさつ回りをしていた慶彦一家5人は、新築した家の三軒となりの家にあいさつをしていましたが、家の住民から帰れと言われたので困り果てていました。

そこへ、近所の奥さまがものすごくオタオタした表情で一家のもとへやって来ました。

「恵須取(えすとる)さん!!たいへんよ!!恵須取さんカタの家の前でやーさんたちが暴れているわよ!!一体どういうつもりなのかしら!!」

近所の奥さまからの知らせを聞いた妻・すずね(40歳・専業主婦)は、長女・はつね(中学3年)と長男・のりひこ(小学5年)と次女・あやね(小学3年)の3人を連れて緊急避難をすることにしました。

慶彦は『一体どういうわけなのか…』と心配になって家の前へ行きましたが、そこでチンピラたちにからまれてしまいました。
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