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舞い降りた天使
第11章 覚悟


真穂とさっちゃんが戻ってきたのは
それからずいぶん時間が経ってからだった

「巧くんごめんね、待たせちゃって…」

「平気平気。
で?どうだった?」

「大丈夫、なんともないって」

「…よかった…」

検査の結果に異常は見られず
大丈夫だろうとのことだったが
今日はとにかく
ゆっくり休ませるようにと
言われたらしい

真穂は少し
ホッとしているみたいだったけど
さっちゃんは
なんだかさっきよりグッタリしてて
痛々しくてたまらなかった

「さっちゃん
よく頑張って偉かったな。
さ、帰ろうか」

「…うん…」

俺は
そんな二人を車に乗せると
とにかく精一杯
慎重に運転をした

出来るだけ
さっちゃんを
揺らしたくなかったからだ

「真…あ…徳永さん」

「あ、何?」

「このまま家まで送ろうか?」

「…ううん。
車…乗って帰らないと…」

「だよな…」


鏡越しの真穂は
バックミラーの中で
少し…困った顔をしていた

会社じゃない場所に
車があることを
さっちゃんに知られてしまうからだろう

さっちゃんに
俺とは仕事をしてたとでも
説明してあるんだろうか…


ひとつ…またひとつと
嘘が増えていく

これが
不倫なのかな…

そんなことを考えながら
俺はハンドルを握りしめていた



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