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舞い降りた天使
第11章 覚悟
それから
アパートの駐車場で
真穂とさっちゃんを見送り
夜になって
俺は姉ちゃんの家に向かった


もちろん
足取りは重い

どうせ
すぐに別れろと
言われるに決まってるからだ

言うこと決まってるくせに
何を話せって言うんだよ…


「駿太は?」

「部屋。
聞かせたくないもの。
不倫の話なんて」


「……」


やっぱり姉ちゃんは怒ってるみたいで
テーブルの向こうで
腕を組んだまま俺を見つめていた


「で?」


「で?って…」


「いつから?」


「それは…」

あれ?
いつからだろう…

その質問に答えられない自分に
俺自身、少し驚いていた

てゆーかさ
始まってるのか?
俺たち
最後までやってもねーし…


「わかんね」


「ふざけないで」


「ふざけてねーよ。
もう嘘つくつもりないし」


「じゃあ
分かんないって
どういう意味なのよ」


姉ちゃんは
少し心配そうな顔をしながら
身体を前のめりにさせ
テーブルに両肘をついた


「まだ
深い仲じゃないっていうか
どっちかってゆーと
俺が一方的に気に入ってるっていうか…」

いや最後までいってないけど
あれはもう深い仲…

けど真穂は
今日だけ俺を求めてたのかもしれないし
旦那と別れるつもりなんて
ないのかもしれない

そう

俺達はそんな話を
まだしたことがないくらいの…仲なんだ


「はぁ…」

「なんだよ」

「巧は都合のいい男なわけだ」

「そんなんじゃねーよ。
徳永さんが
悪い女みたいな言い方すんな」

「不倫する女って
悪い女じゃない」

「……」

そんなんじゃない

真穂は
そんな軽々しく
俺を頼ったんじゃない

もう
どうしようもなくなったから
だから俺のところに…


そう心の中で叫んだけど
俺は姉ちゃんの前で
それを声にすることはできなかった


姉ちゃんの旦那と不倫してたあいつは
確かに俺の中でも
悪い女と認識してるからだ



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