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舞い降りた天使
第12章 通告

翌朝会社に向かうと
早めに家を出たつもりだったのに
駐車場にはもう真穂の車が停まっていた

それから走って事務所へと向かい
事務所のドアを開けると
俺はまず
フロアに真穂以外、誰もいないかを確かめた

よし、誰もいない

「はぁ、はぁ…真穂…」

俺はすぐ真穂に駆け寄り
俺を見つめながら席を立った真穂を
ぎゅーっと抱きしめた

「真穂…大丈夫か?」

そうは言ったものの
答えなんて聞かなくても分かる程
わずか一日で
真穂は疲れ切っているように見えた

「ごめんね、巧くん」

「いいんだ。
それより相談って」

最低でも
あと一時間くらいは誰も来ないはず
だけど俺はその相談ってやつが気になって仕方なかった

「巧くん?」

「ん?」

「マスク…風邪?」

風邪ひいたみたいで俺はマスクをしてたんだけど
真穂はそのことが気になったのか
『相談』から話をそらした

「あー、なんか風邪っぽいから
うつさないようにしてるだけ。
平気平気」

本当は平気なんかじゃなかった

飲まず食わずで
ソファで寝てしまったせいか
昨日から身体もだるくて猛烈に喉が痛い

けどそんなことより

「それより相談って何?
誰かが来る前に話聞くよ。
ここでいい?
それとも休憩室行く?」

「待って」

「え?」

真穂は突然
両手で俺の頰に触れた

「巧くん…熱あるでしょ」

その手は
とても優しくて
俺を見上げる真穂の目は
心配でたまらないと
言っているようだった


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