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舞い降りた天使
第13章 暗闇

それから俺は駿太に連絡をとり
駿太を迎えに行くことにした

駿太の部屋で話をしてもいいんだけど
なぜか駿太は
俺の部屋に来たがったんだ


「タクニイ大丈夫?」

姉ちゃんの住むマンションの駐車場に車を停めると
何やら荷物の多い駿太が車のドアを開けた

「大丈夫大丈夫。
てかなんだよそれ」

「母さんが持って行けって。
作り置きの晩御飯とか
のど飴とかクスリとか?」

「あーまぁ…有難い」


駿太と姉ちゃんの飯が食える

たったそれだけのことが
妙に嬉しいと思った


「駿太、ちょっと遠回りしていいか?」

「うん、いいよ。
どこ?」

「女のとこ」

「ええ!!」

「そんな驚くなよ。
アパートの前通るだけ」


真穂のアパートの前を
通り過ぎる

それだけ


「な、なんだ。
ちょっとびびったー」

「あはは。
なんで駿太がビビるんだよ」


なんかいい

中二の駿太は
そんな俺を
咎めるわけでもなく
叱るわけでもなく
なぜか「びびったー」とか
訳の分からないリアクションをする

ほんとは駿太の顔を見た瞬間に
なんか
泣きそうになってたんだけど
俺が今
悲しい立場にいることすら
忘れてしまいそうだ


「前通るだけって
会わないの?」



「……会えないんだ」

「ヤバイヤツじゃん!」


「クスッ、そう、ヤバイヤツなんだ」

「すげーなタクニイ」

「なにが」

「いや、分からんけど」

「なんで関西弁なんだよ」

「流行ってっから」


「なるほど」
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