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舞い降りた天使
第13章 暗闇


そして
その翌日


俺は駿太を家まで送り届けると
また性懲りも無く
遠回りをした

朝なら居るはず

真穂の車を確認するだけ

窓を見上げるだけ

それだけ


そう思いながらも
自分のやってることは
ストーカーと何も変わらないんじゃないかと
葛藤する


でも
どうしても
真穂の存在を確認したいんだ


もうすぐアパートが見える

バックミラーで後方に車がいないことを確認すると
俺は少しスピードを緩めて
じっと目を凝らした

するとその視線の先に
昨日は無かった真穂の車を見つけた

真穂の車だ!

俺は車を見つけるとすぐ
真穂の部屋を見上げた
そしてその瞬間
思わずブレーキを踏みそうになっていた

洗濯物を干している
真穂とさっちゃんの姿が
俺の目に飛び込んで来たからだ

真穂は
風に髪を揺らしながら
そして
太陽を少し眩しそうにしながら
穏やかに微笑み
さっちゃんと話をしているように見えた

真穂!
こっち向いてくれ!真穂!

心の中でそう叫ぶと
まるでその声が聞こえたかのように
ふと
真穂が俺の方を見下ろした

「真穂!」

俺は思わず
車の中で名前を叫んでいた

この偶然を無駄にしたくない
俺は路肩に車を止めようかと
考えていた

けど

その考えは
一瞬で粉々に砕け散った


真穂が
俺を見つけた瞬間
まるで見てはいけないものを見たような顔をし
そしてさっちゃんに
俺を見せないようにしながら
隠れるように部屋の中に消えてしまったからだ


その様子はまるで


いつかドラマで見た
しつこいストーカーを避けて
逃げ惑うシーンのようだった

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