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舞い降りた天使
第16章 空港

「さっちゃんっ!」

思わず腰を屈めて
大きく手を広げると
さっちゃんは迷いなく
俺の胸に飛び込んできた

それは
人見知りのさっちゃんとは
思えない勢い

こんなに喜ぶほど
今の生活が辛いんだろうか…

それにしても
なんて小さな体なんだ

こんな小さな子供が
学校に行けなくて毎日辛い思いしてるなんて
それなのに真穂の旦那は
さっちゃんのことを心配もしないなんて…

やばい、俺、泣きそう

けど泣いてる場合じゃない
俺は必死で涙を堪えながら
「さっちゃん久しぶりだな!」
と、さっちゃんと手を繋ぐと
さっちゃんは我に返ったように少し照れて
「うん」
と、小さな声で返事をしてくれた

そんなさっちゃんを
俺は全力で守りたいと思う

「さっちゃん
俺と飛行機乗ってくれるの?」

「うん!」

「よかった。
すごく嬉しいよ」

「タクニイ、時間大丈夫?
飛行機最後なんだよね?」

「クスッ
そう、最後だから急がないとな!」

相変わらず
周りのことをよく見ていて
しっかりした子で
そんなところはとても真穂に似てる

真穂から
最終便に乗ることを
ちゃんと説明してもらったんだろう
さっちゃんは
乗り遅れないようにと俺を急かした

「じゃ、真穂行こうか」

「あっ、うん」

「ん?」

真穂が少し動揺していて
俺は違和感を感じた

「どした?
何か気になることあるなら」

「あ、ううん、あの…」

すると真穂は
その続きを俺の耳元で囁いた

「真穂って呼ぶのはまだ早いかも」

あっ…

「ごめん、うっかりしてた」



それから俺たちの
長い旅が始まったんだ

俺と徳永さんとさっちゃんの
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