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舞い降りた天使
第19章 別れ


この部屋から居なくなった真穂は
密かに貯めていた金で
すぐにウィークリーマンションを借りている

新しい携帯電話ももう持ってるけど
連絡が来るのはいつも公衆電話からで
俺は携帯番号さえ教えてもらえないんだ

番号くらい
教えてくれればいいのに…。


「俺もだめかな」

「え?」

突然
意味のわからないことを言い出した駿太は
もうゲームなんかそっちのけで
珍しく真面目な顔で俺を見つめた

「タクニイはアウトだけど
俺がさっちゃんに会うとか」

「駿太…」

「俺なら別に怪しまれないんじゃねーの?」

「ん…」

「中二と不倫はねーだろ?」

「そりゃそうだけど
お前のこと調べられたら
俺に辿り着くのはあっという間だ」

「…そっか」

「……ありがとな」


「……」


無言の駿太が
俺よりも肩を落としてしまったような気がした


「さっちゃんのこと
気になるか?」


「うん」


「自分と重なるからか?」


「それもあるけど…
なんだろ
わかんねーけど
あの子の力になってやりたいってゆーか
あの子に
タクニイを好きになって欲しいってゆーか
なんてゆーか…



ほんとうまくいって欲しいんだよ。

タクニイに

幸せになって欲しいんだ」


「駿太…」


「おかしいよな(苦笑)
なに言ってんだろ俺
わ、すげーハズい!
無し無し無し
マジで今の取り消し!」

駿太は突然
顔を真っ赤にしながら
顔の前で手を振ってみせた

そんな駿太に
俺こそ
幸せになって欲しいと思ってると
言ってやりたかったけど
それはもうちょっと
駿太が大人になってからの方がいいと思って
俺はその言葉を飲み込んだ


「取り消しなんかきかねーよ。
もう俺の脳みその溝に
グイグイ記憶した。
何回も脳内で再生可能。
さっきのハズいやつ
消去不可!」


「消してくれよーーーー」


「やだねーー」


「タクニイーーー」


と、またいつもの
わけのわからない
中二とのやり取りだ

けど
何をしてても
俺の脳裏から
真穂とさっちゃんが消えることはなかった


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