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舞い降りた天使
第20章 返信
泣かせたかったわけじゃない

泣きたかったわけでもない

でも俺も真穂も
今にも泣いてしまいそうで
お互い必死にそれを堪えていた

だから真穂は
一言も話さなくて

俺も
言葉にならなくて…

でも
数十メートル離れた所にいる
俺と真穂は

まるで
側にいるかのように
お互いを感じた合っていた


好きだよ
真穂


「お母さん…」

すると
真穂の様子をおかしいと思ったのか
さっちゃんが
そう言いながら
真穂の袖を引っ張った

「あ、ごめんね」

慌てた真穂は
すぐ俺から視線を外し
さっちゃんに微笑みかけた

そして
突然のバイバイ

「栗原くん、じゃあ、また…」

「あ…うん」

嫌だ
切りたくない

このまま
離れたくない
今すぐ
2人を連れ去りたいとさえ思う

そんなわけには
いかないけど

「じゃ…」

「真穂」

「…」

「電話待ってる」

「…うん」

「いつでも待ってるから」

「うん、ありがとう……じゃあ」

「…じゃあ」


ツーツーツー…


そして俺は携帯を握りしめたまま
手を繋いで歩いていく2人を
見つめ続けた

2人が見えなくなるまで

そして
2人が見えなくなってもずっと…。


だって
帰ったって
寂しいだけだからさ

そう思いながら
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