この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
舞い降りた天使
第5章 嫉妬
そんなこと聞いて
好きだと言われたら
どうするんだよ
そうも思ったけど
俺はどうしても聞きたかった
徳永さんの
『好きではない』と言う言葉を
「どうしたの?急に」
「そーゆーの
知ってた方が
相談に乗りやすいから。
なんでも話す約束だろ?」
嘘だ
ほんとはただ
俺が聞きたいだけ
「…あのね…」
「うん」
「もう…分からないの」
「分からない?」
「…うん。
どうなのかな…」
なんだよそれ
徳永さんの曖昧な返事に
俺は少し不満だった
「仲、いいの?」
「……仲?」
そう、仲いいのかよ
キスしてんの?
セックスしてんの?
「うん。
例えばさ
徳永さん旦那にどう呼ばれてんの?
ママとか?」
「ううん、名前で」
「え、名前?」
普通お母さんとかママとか
子供と同じように呼ぶんじゃないのかよ
「そう…名前で」
「真穂?」
「…そんな感じ」
そのやり取りで
俺の嫉妬心に
火がついてしまった
別に
名前で呼んでたって
仲が悪い夫婦もいるだろう
けど
徳永さんを
名前で呼んでるということだけで
俺は妙に対抗心を燃やした
俺も
名前で呼びたい
「ねぇ徳永さん」
「ん?」
だから
まずは…
「俺のこと
下の名前で呼んでくれない?
巧って」
「え…栗原くんじゃダメ?」
「栗原くんじゃ
仕事してるみたいで嫌なんだ」
「…そう…」
「いい?」
「あー…うん、わかった。
栗原くんが
その方がいいなら」
「やった。
じゃあ俺も
徳永さんのこと
真穂って呼ぶね」
「えっ…」
「真穂」
「やだ…なんか恥ずかしい」
「いいじゃん。
友達ーって感じするし
名前可愛いし
俺、そっちの方が呼びやすい」
「そ、そう?」
「うん。
だからいいよね?」
「その方が…呼びやすいなら」