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最後の恋に花束を
第8章 大学最後の冬

昨年の夏、遙とヒロと三人で海に行った日以降、遙と友達交えて遊ぶことはあったが、二人で会う事は無くなった。ヒロはあの後彼女ができたが、今までと変わらず講義が被れば喋る事も多く、昼ごはんを二人で食べることもあった。

そして就活が始まり、あっという間に冬になり年が明けた。


私とヒロは、会社は違えど近場の会社に内定を貰い、遙は隣の県の会社に就職する事になっていた。


そして卒業式を控えている、まだまだ寒い2月のある日。アルバイト先で働いていた頃の事。


『 可奈ちゃん、相談があるの… 』


そう言い寄って来たのは1つ歳下の女の子のサキだった。彼女は、常連のお客さんの事が好きらしく、頻繁に私へ相談してきていた。

お客さんの名前は、ナオト。

1年ほど前にサキは、ナオトと連絡先の交換をした、と喜んでいたのを思い出す。それと同時に、彼女には申し訳なかったが私も彼から連絡先を書いた紙を手渡されたのも思い出した。連絡はしていないけれど。


「 どうしたの? 」


彼女と二人きりの休憩室で声をかける。
付き合っているという報告はされていなかったので、ついに告白するのか?なんて思っていた。


『 あのね、ナオくん、彼女いるの 』

「 えっ、そうなんだ。知らなかった 」

『 でもね… その… 』


少しずつ彼女の顔が曇っていくのがわかる。
私は彼女をじっと見つめたまま、再び口を開くのを待った。


『 … あのね、ナオくんとエッチしちゃったの 』


再び口を開いた彼女は、堂々と真っ直ぐに私を見た。まるで、悪い事なんてしていないとでもいうかの様に。その視線にドキリと心臓が跳ね、思わず言葉を漏らす。


「 … え? 」


その瞬間、まぶたの裏に遙の顔が浮かんだ。

快楽で歪んだ…
私しか知らない遙の顔が…ー


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