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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏

困ったなぁ、と思いつつ準備室を覗くが袴着しかない。これを勝手に使用する訳にもいかないしなぁ、と心の中で考えながらウロつく。


『 何だよ、どうしたよ 』

「 ん… 着替え持ってなくて 」

『 着替え〜?! あぁ、汚れんの?』

「 んー… そうなんだよねぇ… 」

『 じゃあこれ使う?』


そう言って遙が自分の鞄の中から黒いTシャツと、ハーフパンツを取り出す。それらは、洗濯したてですと言わんばかりに綺麗に折りたたまれていた。


「 えっ… 」

『 いやいや、使ってねーから、綺麗だから!』

「 いいの?」

『 おう。とりあえず、早く見せてくれよ 』

「 わっ、わかった… ありがとっ 」


彼からジャージを受け取った私は、慌てて準備室に着替えに入る。準備室のドアを閉めて、覗くなよ!とだけ叫ぶと、慌てて着替えはじめた。

服を脱ぎ、彼のハーフパンツを着てTシャツを被ると、ふんわりと石鹸のいい香りがした。いつもの匂いとは違う匂いに包まれ、少しだけ心臓がドキドキと速くなったのがわかった。

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