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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏
「 よ、よかったの?」
『 ん?なにが?』
結局書道室に入った私達。彼は物珍しそうに物色している。
「 彼女さん怒ってたでしょ 」
『 そ?まぁ、嫉妬凄いからなぁ〜あいつ 』
「 じゃあよく無いんじゃない?」
『 なにが?』
いつものように、淡々とした私達の会話が始まる。彼の本心や本音は、言葉からではいつも認識できないでいた。
「 …肩組むのとか、嫌でしょ 」
『 えっ、嫌だった?』
「 そ、そうじゃなくて… 」
驚いた表情をして、私へと視線が向けられる。彼の大きな瞳がこちらを向くと同時に、私は思わず視線を逸らした。
『 じゃあ問題ないだろ 』
「 彼女さんは嫌そうな顔してた。」
『 そ?いつもあんな顔よ 』
得意げにそう返す遙。
女心が分からないのか?と疑問に思う。
『 それより早くしろよ〜 』
「 … あっ、そうだった 」
『 おいー、しっかりしてくれよ 』
書道というものがどんなものか見せて欲しいと言われ、ここに連れられてきた。私は、パフォーマンスを取り入れた書道が得意だったのでパフォーマンス練習用に準備をし始める。
『 えっ、そんなデカイやつに書くの? 』
「 そ、こっちのが、私得意なの 」
今の気分でテーマを決めた私はパフォーマンス用の青い液と墨汁を用意する。色の具合もちょうど良いところで、準備が完了した。
『 もう 書ける?』
「 ん〜… 書けるんだけど… 」
私は自分の制服に目を向ける。いつもパフォーマンスする時は、服が汚れるのを避けるため着替えて行っていた。けれど部活が休みの今日は、その着替えを持っていなかった。