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君に熱視線゚
第51章 番外 後編


「部屋はもう片付いたの?」

帰ってきた苗にオカンは聞いた。苗は頷きながら悟からの手土産を差し出す。

「あら、餅まんの抹茶味っ?」

何気に嬉しそうな笑みを溢す。

「もうすぐお昼だからこれは後ね」

「うん、お昼は何する?」

春休み真っ只中。

家族がそろっている平日の田中家で苗は力仕事のように腕を捲る。

10人分の食事──
それはある意味体力作りとでも言えるのではないか?

「悟ちゃんの分も忘れずにね」

「──…っ!」

オカンの言葉に冷蔵庫を物色していた苗はハッと顔を上げた。

…そうだ、忘れてた──

悟ちゃんこれから家でご飯食べるようになってたっけ……



「……むぅ…」

苗は引っ張り出した食材を前に包丁を握り締めてむぅっと鼻息を洩らす。


何も起きないだよね……



田舎から上京してきた幼馴染みの変わり様に苗は一抹の不安を覚える──


だいたい悟ちゃん彼女居るのにどうしてこっちに着ただかね?…

「…ハッ──!」

苗は何かを思い出した。


そか、…衣替えの時期だ……


そしてまたむうっと唸っていた……。

苗が居る田中家の台所からは、美味しそうなカレーのいいにおいが漂い空に広がる。

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