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君に熱視線゚
第51章 番外 後編


冷蔵庫の食材処理も兼ねた煮込み料理。カレーは大家族にはうってつけのメニューでもある。

窓の外から香るカレーの香りはベットの上で一休みする悟の鼻にも送られてくる──

悟はうつ伏せに寝転んだまま枕をぎゅっと抱き締めた。


「苗──…」


気取ってキスをしたものの、悟は苗にした自分の行為に目をきつく閉じていた。


「やっと傍に居られる…」

小さく呟く。

幼い頃はずっと一緒にいた──

ほんの二、三年の間ではあったが苗が小学校に上がるまでずっと田舎で二人一緒に過ごした。

悟の胸には小さな頃の苗との思い出がたくさん溢れている。

そして…


小さな頃の苗の思い出しかない──。


離れてからは夏に帰省する苗と逢うのが楽しみで、そしてまた帰っていく苗を見送ることが辛かった。


悟はうつ伏せのまま壁に掛けた学生服に目を向ける。

一学年違うだけ。

そんなのいままでの距離に比べたらどうってことはない──

悟は枕の下に忍ばせた写真を手にしていた。

「苗…ずっと…この日を待ってたから──」
去年の夏に撮った写真。

苗との短い夏の思い出は悟の胸に確りと記憶されていた──

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