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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜


田中家に到着すると買い物した荷物を家に運ぶ。

田中家に仕舞い切らない食料品は、自分達のマンションの一室に一時保管となる。

三つ子と別れると苗と晴樹、悟の三人はマンションのエレベーターに乗り込んだ。

買い物に満足したほくほく顔の苗を挟み、晴樹と悟は終始無言のままだ。

着いてくるなと言いたくても部屋が隣じゃそう言う訳にもいかない。

晴樹は微かに苛立ちを募らせていた。

「じゃね、悟ちゃん。また後で」

「──……」

部屋の前で悟に手を振る苗の言葉に晴樹は目を見開いた。

「また後でってなんだよっ?」

ドアを閉めて中に入った早々、晴樹は苗を玄関で問い詰める。

「なにって…夕食は悟ちゃんも向こうで一緒に食べるだよ…」

「一緒に!?…」

聞き返す晴樹に苗は悟の親から食事の面倒を田中家で見てくれるよう頼まれていることを説明した。

「………」

中学終えてすぐの一人暮し。まわりで面倒見るのは当然といえば当然。

理解はできてもそれでも晴樹は納得がいかなかった──

やっと帰国が叶ってこれからの生活を苗と──

そう思い描いていた夢のライフが何だか危ぶまれている気がする。

晴樹は何気に小さく舌を打って苗を見つめた。

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