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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜
NYに居る間、ずっと苗を恋い焦がれた。

欲しくて欲しくて堪らなかった苗が今はこの腕の中にいる──

何度見たか知れない苗の夢。色っぽい夢を願えど何故か眠りについて見る夢は、お歯黒を貼り付けてバカ笑いするいつもの苗だった。

そして、それに爆笑する自分の声で目覚め、切ないため息と共に虚しい朝を迎えたことはしょっちゅうだ。


晴樹は苗の感触を確かめるようにふっくらとした頬を撫でて唇を指でなぞる──

「なえ…逢いたかった……」

苗は見つめたまま頷く。


「これからはずっと一緒に居られる……」

切なく目を細めて想いを囁く晴樹。苗の瞳にはゆっくりと涙が浮かび上がった。

「……っ…うぅ…」

ふっくらとした唇が急にぷるぷる震え出す。感極まったのか苗の顔がグシャリと歪み鼻が広がる。

「兄ざんっ…」

「………」

涙を堪えた苗の顔に晴樹は釘付けになっていた。

抱きつくように肩に回った苗の腕に驚きながら、やっぱり普段通りの苗に晴樹は思いきり笑っていた。

「苗も゙逢いだがっだ…っ…だょぅ…」

「……ぶっ…」

一生懸命伝えてくる苗に晴樹は吹き出しながらも幸せそうな笑みを溢す。

学園で逢った時はそっけない態度の苗に一度はガッカリした。

晴樹はこそばゆい想いに駈られながらも苗のおでこにキスをする。

そしてしがみつく苗を思いきり抱き締めて柔らかな布団に埋もれた。

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