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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜
白くてしっとりした肌の感触を晴樹の指先が味わいながら這い回る。

相変わらずくびれのない腰を撫でると、たぷんとした肉を晴樹はからかうように指で摘んだ。

「なえ……」

晴樹は笑みを含みながら苗の耳元でこっそり囁く。

「少し太っただろ?」

「……っ…」

苗のクリ目が見開いた。

「ふ、…っ…」

「ふ?」

大きな目を向けて口にした苗の言葉を晴樹は繰り返す。

「冬支度のなごりだょっ…」

「………」

苗の咄嗟の言い訳に晴樹は呆れた顔を見せていた。

晴樹と離れていた間、財閥御曹司の奥様となってしまった苗は何気に贅の限りを尽くしていたのだ。

スーパー丸一の「黒糖饅頭(見切り品)」

そして週に一度のケンチキ大盤振る舞い。

例え金持ちになったとしても、苗の銭の使い方はたかが知れている……。

安上がりな食生活で蓄えたお腹の浮き輪。

それは確かに冬には湯タンポよりも暖が取れそうだった。

苦しい言い訳をした苗を無言で見つめ、晴樹はまたプッと吹き出した。

やっぱり嫌いにはなれない──

何を言っても、何をしでかしても許せてしまう。

「なごりか……」

「…う…っ…」

腹を摘みニヤリとした晴樹に苗はそれ以上の言葉が思い浮かばない。

「なら、そろそろ溶け出してもいい頃だよな?──…春だし……」

「……っ…」

「ダイエットするか、今から」

「今からっ!?…っ…」

妖しい笑みを浮かべる晴樹の意図に気が付いた。そんな苗の絶叫顔を両手で挟むと晴樹は離れていた時間を取り戻すように長い長いキスをする。

その口付けが物語る──

今夜はきっと眠れない。
いや……

寝かせて貰えない──

「うっ!?……あっ…ちょっ…兄さ…っ!」

「しっ……」

「……っ…」

何かを言い掛けた苗の唇を軽く手で塞ぐと晴樹の指は苗の下腹部へ潜りこんでいた。
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