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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜

「苗、俺にも抱かせて…」

「………」

晴樹の言葉に顔を上げた苗の表情が何だか可笑しい。

「なんだよその顔は?」

「兄さんが言うとどうもおハレンチにしか聞こえないだよ……」

「…っ…失礼なやつだな!?純粋に抱かせてって言ってるだけだろっ…」

「その、“抱かせて”ってのがどうも…」

「……っ…」

真っ赤になって慌てる晴樹に田中家一同が揃って深く頷いていた。

「じゃあ、兄さんお願い。苗、ちょっと片付けするからさ」

苗は、あっさりとみのりを晴樹の腕に託し、食事の後片付けを始めた。

たくっ……

抱かせるなら最初っから抱かせろつーのっ…


「………」

晴樹はブツブツ呟きながらふと、思った。

「“抱かせろ”はやっぱ確かになんか変だな……」

小さく反省しつつ、ぐっすり眠るみのりを眺めた。


くっきり眉毛が何となく満作父さんに似ている……

このだんごっ鼻は苗だ…


「クスッ……」

晴樹の口からつい笑いが零れた。

柔らかそうな唇を指でつつくと小さな口をモゴモゴさせる。その仕草が可愛くて晴樹は自然とみのりに頬擦りをしていた。

悟は晴樹のその姿を目にすると腰を上げた。

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