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エメラルドの鎮魂歌
第14章 海に睡るエメラルド 〜エメラルドの鎮魂歌 SS 〜
ややもして、八雲が口を開いた。
「…これから、どこに行くのかお尋ねにはならないのですか?」
瑞葉は隣の男を見上げ、きっぱりと首を振った。
「ううん。聞かない。
…僕は、お前が行くところについてゆくよ。
例えそこが地獄であろうと…。
お前と一緒に…どこまでもゆく…」
「…瑞葉様…」
抱きすくめられ、貌を引き寄せられる。
甲板のランプの灯りに照らされた八雲の瞳は深い瑠璃色に輝いていた。
瑞葉は白い手をそっと伸ばす。
愛おしげに男の端麗な貌の輪郭をなぞりながら、微笑む。
「…お前のこの美しい瑠璃色の瞳…。
この瞳に見つめられていれば…どこに行っても構わない…」
…だから…と、瑞葉は八雲の胸にもたれ掛かりそっと瞼を閉じた。
「…いつまでも、僕を見ていて…」
八雲は返事の代わりに、胸の中の美しい恋人を強く抱きしめた。

…二人は同じ夢を見るのだ…。
エメラルドと瑠璃色が交わり溶け合い…ひとつになる…
永遠の果てにある、海の夢を…。




〜la fin〜
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