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エメラルドの鎮魂歌
第3章 禁断の愛の果実
一日の業務を終え、八雲は執務室を出て浴室に向かった。
執事室の隣には、小さいながらもシャワー室が備えられているのだ。

…執事は深夜に湯を使うことが多いからな…。
他の使用人を起こさぬようにする為なのだ。
叔父がそう教えてくれたのをふと思い出す。

八雲は衣服を脱ぎ捨て、浴室に入る。
熱いシャワーの湯気が立ち込める中、鏡の前の裸の自分と対峙する。

見慣れた自分の身体の引き締まった下腹部にある屹立した牡を冷静な眼差しで見つめる。

…あんなことを瑞葉には言ったが、本当は瑞葉の身体を弄るだけで、己れの欲望は爆発しそうなほどに欲情しきっていた…。

…この数年、瑞葉は花が綻びるように身体が成熟し、匂い立つような色香に満ちた青年に成長した。
天性の伽羅の香りは更に芳香を増し、ことに性的な接触をするとそれは、熱を帯びて高まり…八雲を狂おしく酔わせた。

…瑞葉のしっとりとした練絹のような白い肌…性的に興奮すると桜色に染まり、つんと勃ちあがる乳暈…まだ淡い金色の産毛しか生えてはいない下腹部…やや成長はしたもののまだ少年の像を留めるほっそりとした薄紅色の花茎…。
…そして、脚を大胆に広げさせた時に双丘のあわいに密やかに息づく薄桃色の花環…。

瑞葉の達する前の切なげな声…形の良い珊瑚色の唇…そこから見え隠れする濡れた紅い舌…甘い吐息…。

すべてが八雲の官能を刺激し、箍が外れそうになるのを必死で押し留めているのだ。

「…瑞葉様…!」
八雲は己れの牡を握りしめ、堪らずに上下に扱き上げる。
シャワーの水音に紛れ、淫靡な蜜音が聞こえる。
「…本当は…貴方をめちゃくちゃにしたい…!貴方のすべてを奪い尽くし、食い荒らしてしまいたい…!
…貴方を犯したい…!」

そうしないのは、僅かに残された大人の分別と理性と…瑞葉の神聖を汚したくないという心の奥底にある願いだけだった。

「…瑞葉様…貴方を…早く…私のものに…!」

先ほど己れの手の中で、爆ぜさせた瑞葉の淫蜜の熱さが蘇る。
その白い愛蜜にも、伽羅の香りは漂っていたのだ…。

「…瑞葉様…っ…!…くっ…!…」

八雲の弾けさせた牡液は濡れた鏡をしたたかに汚し…それはさながら八雲の瑞葉への底知れぬ執愛の如く、ねっとりと淫らに滴り落ちていくのだった…。
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