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エメラルドの鎮魂歌
第3章 禁断の愛の果実
「…ひ…っ⁈」
薫子の口から鋭い悲鳴が上がった。
見る見る内に強張る彫りの深い貌を見つめながら、八雲は物語を語るかのように静かに話し始めた。

「先代の伯爵は亡くなる直前に、貴女に愛人との落とし胤の子どもを告白しました。
その子どもに不自由ない援助を懇願されたのですね。
…けれど貴女は、手のものを使いその愛人と子どもを亡き者にしようと謀略を図りました。
愛人は刺客の手から逃れる途中、子どもを庇い亡くなりました。
…つまり貴女が殺したのです」

薫子の顔面が紙よりも白く、血の気が引いてゆく。
「…な、何を馬鹿ことを…!」
八雲はシルクのようにしなやかに微笑った。
「企みに加わったかつての貴女の侍女が、洗いざらい話してくれましたよ。
…一度寝たくらいでペラペラと…。
これだから女は下らない。
あの淫乱な雌豚は、貴女の過去の愛人まで聞かなくても教えてくれましたよ。
…ご愁傷様です。
これから侍女を雇われる時には、慎重に面接をされることをお勧めいたします」
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