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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第15章 大事なものが離れていく

閉店作業を手早く終えて店を出ると、近くのコンビニで繁正さんは待っていた。

「お待たせしました」
「うん、お疲れ様。これ飲んで」

繁正さんからお茶をいただき、それを飲みながら暗い道を歩く。

「少しずつ暖かくなってきましたね。春も近いですね」
「そうだね……実は舞花に言わなきゃいけない事があるんだ」

そう言うと、立ち止まってこちらを見る。
真剣な顔をするので、私も身構える。
まさか、お見合いの話…?

「実は…本社の仕事で、再来週から福岡に長期出張に行く事になったんだ」
「…出張ですか」

お見合いの話じゃないんだ…
思っていた話とは違い、気付かれないよう小さく溜め息を吐いた。

「長期って、いつまでですか…?」
「3週間くらいかな?仕事の内容で期間が前後すると思う」

3週間か…仕事とはいえ、しばらく離れるのは寂しい…

「でも、こっちの仕事は大丈夫なんですか?3週間程仕事をするって聞いてますけど」
「それは大丈夫。出張までに仕事は終わらせるよ。その後の仕事は並木さん、あの子がしてくれるから」



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